いきなりですが、皆さんは会話で「ずら」を使いますか?と言うか「ずら」を知っていますか?
その昔、越境入学で松本の高校に進学したのですが、その時松本の人たちが会話の中で「ずら」を多用していたのがとても衝撃的だったことを覚えています。
3月に野球部の寮に入ったので、当初は野球部の仲間との会話がほとんどでした。その会話の中で「ずら」が頻繁に飛び交います。当時私の頭にある「ずら」を使う人とは、大人気野球漫画「ドカベン」で、明訓高校の2塁手として登場する、あの秘打「白鳥の湖」で有名な「殿馬君」以外は知りませんでしたから、「この人たちは、よっぽど主人公の山田太郎ではなく、殿馬が好きなんだろうな。」と思っていたのですが、いざ4月に入り授業を受けると、なんと先生まで「いいか、みんな!」「まずこれが1ずら、2ずら、3ずら・・・。」と「ずら」を連発するではありませんか!!
衝撃的でした。
とは言え、「郷に入っては郷に従え」で、高校3年間で私もすっかり「ずらマイスター」と化していました。
と言うことで、この「ずら」は方言です。長野県では中南信地方、山梨県、そして静岡県でも使われるようです。また、その意味ですが、簡単に言うと、相手に念をおしたり同意を求めたりする時に、いわゆる「~でしょ?」とか「~だよね?」などの付加疑問として使います。英語で言うなら、「isn’t it」とか「don’t you」みたいな感じです。
例文からすると、「今日、ラーメン食べに行くずら?」=「今日、ラーメン食べに行くでしょ?」とか、「新しいバットいいずら?」=「新しいバットいいでしょ?」となります。
さて、昨日のことです。
安曇野市で大規模工場の新築を当社にお任せいただいた会社の会長さんと社長さんが、担当の設計事務所さんと当社をお呼び頂き、激励会を開いて下さいました。
参加者の多くは、根っからの松本市民の方々です。
美味しい食事にお酒もすすみ、会話も弾んだのですが、ここで違和感が。
そうなんです。
皆さん「ずら」を使わないのです。
それに気がついてから、気になって、気になって1時間ほど気をつけて会話を聞いていたのですが、ここは当然「ずら?」だろ!と言う場面でも、「ずら?」ではなく「でしょ?」となっていました。
松本を離れてから40年。
「ずら」を使わない時代となっていました。
それって、ちょっと寂しいずら?
以上です。