いきなりですが、日立製作所の会長を5年間務め、2014年3月末に辞した川村隆氏(現相談役)著の「ザ・ラストマン」を読んで感銘を受けました。
「ラストマン」とは文字通り「最後の男」と言う意味です。
内容を本当に簡単に説明させて頂くと、川村氏がピンチに陥っていた日立製作所のトップに立った時、事業責任者に「ラストマン」、要するに最終責任者だと言う意識を強く持ってもらう仕組みを導入したそうです。以来、リーマンショックの影響もあり、過去最悪の8,000億円近い赤字に陥っていた日立製作所を見事V字回復させた手法や考えたが書かれた本です。
さて、「ラストマン」は、この本の中でも、もちろんビジネス的意味でも、仕事の最終責任者を指しています。
ただ、この「ラストマン」は他にも重たい役割としての意味があるのです。
例えばです。残念ながら事故等で沈没してしまう客船があるとしましょう。当然、乗務員は乗客を安全に避難させる義務があります。乗客の避難が全て済むと今度は乗務員の避難となります。そして、船が沈もうが沈まないでいようが、全ての乗客と乗務員を避難させたことを最終確認して、ようやく船から離れる人、要するに命を落とす危険性が高くともその役割を果たす人を「ラストマン」と呼ぶのだそうです。
そこでふと「これどこかで聞いたことがある。」と思ったのです。
そうです。戦国時代の合戦で、劣勢の中撤退を余儀なくされた場合、味方を安全に撤退させる役目を果たした「殿(しんがり)」と同じだと。
この「殿」は、主君の信頼が厚い武将が担ったようですが、勢いに乗っている敵を食い止めるのですからその役目は過酷です。当然死ぬ可能性が高い役目となります。
「殿」って、まさに「ラストマン」ですよね。
「ラストマン」はとても重たい役割です。
今回、この「ザ・ラストマン」を読ませて頂き、「ラストマン」であるべき自分と少なからず向き合うことが出来ました。
要は「覚悟」。
以上です。