いきなりですが、ある後輩の話をします。
彼は、役者でした。
高校卒業後に上京し、専門学校に通いながら、どうしても役者になりたくて劇団にも所属していました。そして、遂には、大ヒットした映画で台詞も貰えるくらいの役者になりました。
ただ、彼が入った劇団は小さく、彼の師匠と彼の2人くらいしかお金になる役は貰えず、常に火の車だったそうです。
それでも、師匠と彼には大きな夢があるので、アルバイトをしながら劇団を支えていたそうです。
そんな最中、彼の師匠は34歳の若さで急逝してしまいました。
彼は悩みましたが、それでもお世話になった師匠の意志を継ぐために、ひとりででも劇団を支えて行こうと決心したそうです。
亡くなった師匠には、奥さんとまだ小さな男の子がいたそうです。師匠の奥さんは、東京の人ではありません。なので、彼は当然子供を連れて実家に帰ると思っていたそうです。しかしです。奥さんは帰らなかったそうです。しかも、帰るどころか、ご主人である師匠の意志を継ぐために、役者でも無いのに劇団を支えると言い出したそうです。
彼は猛反対しましたが、それでも奥さんは言うこと聞かなかったそうです。
彼が21歳で奥さんが27歳。
結局彼は奥さんの熱意に折れ、今度はこの2人で貧乏劇団を支えることになったそうです。
次回につづく。
今日は以上です。