「令和2年7月豪雨」は、ついに東北地方にまで被害が及んでいます。同じ月の豪雨が、これほど広域に渡って被害をもたらしたことがこれまであったでしょうか?本当に恐ろしいことです。今まさに河川の氾濫や土砂崩れの渦中におられる方、命が最優先です。十分な注意をお願いします。
さて、先の4連休中に、奇跡的に雨が上がった間隙を縫って夏のお届けものをしようと、先輩が経営するブルーベリー農園に行って来ました。
コロナ禍の上に雨模様とあって、いつもは子供連れの家族や団体のお客さん等で賑わうこの農園も、いつものそれとは違い閑散とは言わないまでも、少し寂しい感じです。
午後2時位だったでしょうか?ふと農園の作業小屋前にある屋外テーブルを見やると、そこには日よけの帽子をかぶり首にタオルを巻いた男性が遅いお昼ごはんを食べていました。
そうです。この方がこの農園の経営者であり、私の尊敬する先輩です。
先輩とは、25年程前に知り合いました。いくつも会社を経営されていて、その中の一つが土木系の建設会社であったのと、ある異業種団体での活動を通じて親交が深まりました。その間、本社の新築工事やご自宅の新築工事もお手伝いさせて頂きました。当時は、バブル経済崩壊直後ではあったものの、長野は1998年に開催された冬季オリンピック・パラリンピック景気もあり、先輩とは夜な夜な出歩いては随分とご馳走になりました。今では考えられないくらいにバブリー(←死語?)だったことを覚えています。
そんな先輩が10年ほど前だったでしょうか、突然グループ内の主要事業を手放したかと思うと、その他事業の要職からも一線を引かれ、「農業をやる!」「これからは農業だね!!」とだけ言って、あっと言う間に経済界から去って行きました。
以来、先輩の育むブルーベリーは7年連続モンドセレクション受賞。また、これまでの長野には無い、海外の美しいワイナリーを彷彿させるような農園づくりもされ、今では多くの皆さんを楽しませてくれています。
と、汗だらだらでお弁当を掻き込んでいる先輩のところに挨拶に行きました。
私「先輩、お久しぶりです。」
先輩「おっ、やすおみちゃん、よく来たねー。」
先輩「悪いねー、ちょっと待ってて。」
先輩「おい、君たちカブト虫いるか?」
子供「いるいる!!!!!」
と、農園に来ていた子供たちにカブト虫をプレゼント。子供たちは大喜びです。こういうところ、昔と変わっていません。
先輩「やすおみちゃん、俺もさ、やってみて分かるんだけどさー、農業には限界があるねー。」
と、しみじみ。
深い意味があっての言葉だったと思います。ただ、浅学の私がコメントすべき場面では無いと感じ、なにも答えずにいました。
と、暫く農園を見やっていた先輩は、いつものようにニコっと笑い、「やすおみちゃん、まあ、楽しんで行ってよ。」と言って再びお弁当の残りを掻き込み始めました。重たい言葉だと感じましたが、その表情には後悔の念はまるで感じられませんでした。
10年前に超豪勢なお寿司を頬張っていた先輩より、ほっと〇っ〇のお弁当を掻き込む先輩が100倍格好よく、とてもまぶしかったと言うお話です。
以上です。