いきなりですが、「飛ばないバット」のつづきです。
では、「飛ばないバット」のメリットとデメリットとは?
まず、デメリットから言うと、見る側としては、選抜を見た高校野球ファンからも、「打球が飛ばなくておもしろくない。」「点数が入らなくて盛り上がらない。」といった声が上がっています。
また、プレイヤーとしても、ホームランを打ったあの時の、あの興奮と、あの充実感と、あの満足感と、あの感触は「野球をやってきて良かった。」「厳しいの練習をしてきて良かった。」と思わせるのです。
私など、高校時代に放ったホームランの感触が今でも手に残っています。
このなんとも気持ちのいい体験が減ってしまうのは、高校を卒業しても野球をしたいと思う球児を減らすことに繋がってしまう側面もあると思います。
一方メリットとしては、一進一退の投手戦を好む高校野球ファンからは、「緊迫した試合が多くて、投手戦の醍醐味を感じた。」「一方的になる試合が少ないのが良かった。」などと意見が聞かれました。
メリットに対しては様々な意見はあると思いますが、私はやはり投手の故障や事故防止で相当のメリットがあると感じています。
まず投手の故障から言うと、打者の力が道具によってあまりにも強くなってしまったことによって、投手はその強打をかわすために中学から肘や肩に負担のかかる変化球を投げる必要があるので、当然故障の原因となります。
また、投手の実力アップとして、試合を決めるような大事な場面でも長打をさほど警戒しなくてもいい状況なら、思いきりストレートを投げ込む。
投手の基本は、やはりストレートの威力だと思っているので、「飛ばないバット」の導入で、投手のストレートの力が増して行くことを予想してますし、指導者の方にも「飛ばないバット」導入を契機にストレートに磨きをかける指導をして頂きたいと思っています。
打者も、より木製バットに近くなっているので、バットの芯に当てる打撃技術は高まって行くと思います。
特に大学、社会人、プロに行くことを目標する打者にはとてもメリットがあると思います。
まあ、打者の場合、今回の「飛ばないバット」導入も、普段の練習で竹バットや木製バットを使用しているチームも多いと思うので、戸惑いはさほど無かったと思います。
そこで、私なりの結論ですが、硬式野球において、小学生までは、「凄く飛ぶバット」を使用し、前記したあのホームランの感激や感覚を掴んで中学、高校に進んで欲しいと思います。その後、中・高校生は、「飛ばないバット」を使用し技術の向上、故障の防止、それに事故防止に繋げていくことがベターだと思います。
ただ、一つ気になるのは、記録です。
私としては、高校野球の長い歴史において、「木製バット時代」、「第一次金属バット時代」、「第二次金属バット時代」、「第三次金属バット時代」そして「飛ばない金属バット時代」とそれぞれの時代で大会記録を分けるべきではないかと密かに思っています。
以上です。