いきなりですが、過日の旅行では、韓国と北朝鮮の間に設けられているDMZ(非武装地帯)に行ってきました。
韓国へはこれまで何度か行かせていただきましたが、南北会談の窓口として有名な板門店(パンムンジョム)に行く機会はありませんでした。
で、今回の旅では、参加者の中にぜひこのDMZを見学したいというメンバーがおり、私もちょうどそう思っていたのでツアーが実現したのです。
さて、これまでDMZといえば板門店の見学が主流でしたが、北朝鮮が南北軍事合意を破棄し、DMZでの緊張が高まる中、北朝鮮軍が板門店の共同警備区域で拳銃を身につけて勤務しているなどの状況から、現在は中止になることが多いようです。
我々が参加したDMZツアーは、まずは、休戦後、捕虜の帰還に利用された「自由の橋」や韓国戦争当時破壊された京義線の鉄道などを見ることができる臨津閣(イムジンガク)公園を見学し、その後都羅(トラ)展望台から北朝鮮を眺め、1978年に発見された南侵用第3トンネルを徒歩で観覧しながら歴史背景や現在の状況を聞くという内容でした。
DMZに行く途中には韓国軍によるセキュリティー用のゲートが設けられており、一度ツアーバスは停車し、乗客全員に対して兵隊による本人確認が行われます。この際、パスポートがなく本人確認ができない場合、DMZに入ることはできません。
また、このツアーを企画できる会社も、軍からの厳しい資格審査をクリアした旅行代理店でないと実施することはできないそうです。
さすがに、兵隊による身分確認の際は緊張が走りました。
都羅の展望台から国境を眺めると、すぐそこは北朝鮮です。国境を海で囲まれた日本とは違い、休戦中とはいえ、実質的には戦争状態にある陸続きの国境を初めて目の当たりにしました。
ここが国と国を分ける線なのかと思うと、不思議な気持ちになりました。地図の上でははっきりとした境界線が引かれていますが、実際にここに立つと、向こうにもこっちにも同じ風が吹き、同じ空が続いています。ただの線なのに、向こう側とこちら側では全く違う時間が流れている・・・。
そう思うと、なんとも言えない気持ちになりました。
今回は通常の観光ツアーです。ただ、この緊張をほんの少しでも感じておくことで、また物の見方が変わった気がします。
いずれにしても、こんな緊張はないに越したことはありません。
あっ、ちなみに国境に向かっての写真を撮ることは許されませんでした。
以上です。